当たり前じゃつまらない。日本語学習者から学ぶクリエイティビティ

ニューヨークにいたときは、学業の傍ら大学や中学校の日本語プログラムでティーチングアシスタント(TA)の仕事をしていました。

大学生の場合は、割と明確な目的意識をもって日本語を選んでくるし(アニメ好きとか、自分の専門が日本の歴史とか美術だったり)、勉強しないと容赦なく落とされるので、みんな死ぬ気でやるのですが、中学生の場合はかなり事情が違います。

日本語を選択する生徒は、日本のアニメ大好き!日本食大好き!という「とにかく日本大好き!」タイプと、日本のことはよくわからないけど、「何となく」面白そうだから選んでみたっていう二つのタイプにきれいに分けられます。

「何となく」グループに聞くと、兄弟が日本語を選択していたからとか、日本関係の仕事をしている親に勧められたから、といった理由があがります。他の外国語(スペイン語やフランス語)を取ってみたけどだめだったので日本語に望みをたくしてみたという生徒もいるのですが、これは自殺行為。母語が韓国語でもない限り日本語でも挫折します。

私がTAをしていた中学校はニューヨークの中でも有名な名門校。授業の進行もかなり早く、「何となく」グループは、ひらがなもまだ完全に読めないうちに、カタカナ、漢字がどどーんと入ってきます。

一つ一つの漢字を覚えるだけでも大変なのに、音読み、訓読みの区別も覚えなければいけない。たくさんの動詞や形容詞を覚えた上に、それぞれの活用も覚えなければいけない。あまりの情報量の多さに、同じクラスでレッスンを聞いていて、私自身めまいがしそうになることも。みんな本当によくやってるよ。。。と感心することしきり。

クラスメートとの差が大きくなるばかりの「何となく」組。でも要領(だけ)はやたら良くなってきます。テニス一色の生活をしていたある男の子。書けるカタカナは自分の名前と「テニス」だけ。日記を書いてくるようにという宿題があると(日記と言っても10行程度)、「今日はテニスをしました。」「誕生日にテニスラケット(ラケットは英語で書いてある)をもらいました。」「明日はテニスをしたいです。」って、すべて「テニス」絡み。ま、嘘じゃないんですけどね(笑)。

こんなのもありました。空欄に文を入れて完成させる問題。

母はデパートで、(             )。

期待されているのは「バッグを買いました。」とか買い物関係の答えだと思うのですが、ある生徒の答えはこうでした。

母はデパートで、(うたをうたいます。

本人「うたをうたう」っていう動詞しかまともに書けず、全部これ。でも私こういうの大好きです(笑)。デパートのイベントできれいな衣装を着て歌うお母さん。歌うことが大好きで、一日中歌を口ずさんでて、人が集まるところに行くとついつい歌声が大きくなるお母さん。いろいろなお母さんのイメージが思い浮かびます。

また、こんなのもありました。

「ジョンは歌がうまいので、(       )。」

先生は「人気があります。」と書いてほしかったようですが、「きらわれています。」と書いた生徒がいました。不正解とされたことに不満いっぱいで先生に抗議します。

「歌がうまいからって人気があるというのはおかしい!うますぎて、気持ち悪いって思う人もいるはずだ!」と。確かに。先生も納得して、正解にしてあげてました。

単純な穴埋め問題やマークシート式の問題では決して測れないのが語学力。語学のクラスは独創性や想像力も存分に発揮できる場でもあります。私のレッスンに来てくれる人たちにもいつも言っているのですが、常識的な考えはちょっと横に置いて、どんどん自分のカラーを出してください!と。

今日はどんな珍回答が出るかな〜。楽しみです。