ロバート・デニーロからの贈る言葉 at NYU

5月はアメリカの大学の卒業シーズン。大抵の卒業式には、卒業生にはなむけの言葉を贈るゲストスピーカーが招かれます。

その大学の卒業生や、大学にゆかりのある著名人が大半ですが、あっと驚くような有名人も登場したりするので、自分の卒業式が近づくとみんな「今年は誰が来るんだろう」とワクワクしながら発表を待つのです。

私のコロンビアの卒業式にも、もちろんゲストスピーカーがいましたが、、、、誰が来たのか、何を話したか、全く記憶に残っていません。

この”commencement speech”で有名なのは、アップル創設者スティーブジョブズのスタンフォード大学でのスピーチかなと思いますが、個人的にとっても心に残っているのは、ハリーポッター作者 J.K. ローリングのハーバード大学でのスピーチ。

そして、ロバート・デニーロが今年のNYU卒業生に向けて贈ったスピーチ。これがもう絶品で。。。何回も何回も再生して見ては、涙、涙、涙。

アメリカでは、学部ごとに卒業式が行われることが多いのですが、今回デニーロが招かれたのはNYUのTisch School of the Artsの卒業式。この学部は、テレビや映画、舞台の世界でキャリアを築いていこうというアーティストの卵たちにプログラムを提供している、いわばディレクター、俳優、脚本家の養成所。

卒業はおめでたいことではあるけれど、この業界、学位を手にしたからといって、仕事がばんばん舞い込んでくるということは、もちろん、ありません。デニーロは言います。

“On this day of triumphantly graduating, a new door is opening for you: a door to a lifetime of rejection.”

「卒業できた!って意気揚々と喜ぶ君達に待っているのは、途切れることのない不採用の通知だよ。」

“Did you get straight A’s in school? If so, good for you. Congratulations. But in real world you’ll never get straight A’s again.”

「学校でオールA取ったって?それはすごいね。おめでとう。だけど、現実の世界でオールAは絶対にないからね。」

デニーロのようなベテラン俳優でも、欲しい役を演じるために、毎回オーディションを受けて勝ちとらなければならないという現実。自分が演じたい役を、無名の役者に奪われることも珍しくない、と彼が言うように、有名だから、実力があるから、というだけで役は回ってきません。

“Rejection might sting but my feeling is that often it has very little to do with you. When you’re auditioning or pitching, the director or producer or investor may have something or someone different in mind. That’s just how it is. That happened to me for the role of Martin Luther King in Selma, which was too bad because I could’ve played the hell out of that part. “

「不採用の通知を受け取るのは辛いけど、ほとんどの場合は、自分の実力とは関係ないことが多いんだよ。監督や制作者、投資家の頭にあるイメージと違ってたってだけだから。ほら、この間のマーティン・ルーサー・キング Jr.を題材にした映画で、あの役がものすごくやりたくて、うまくやる自信もあったんだけど、、、笑」

いくら頑張っても、デニーロにキング牧師の役は来ないでしょう。

「この先の人生、大変なことの方が多い。それは間違いない。だけど、自分を信じて、道を切り開いていって欲しい。上手に気持ちを切り替えながら、前に進んでいくんだよ。」デニーロ自身、自分にそうやって言い聞かせてここまで来たのでしょう。言葉に重みがあります。

「これからの人たちに、僕は本当に期待してるんだ。今日は、映画監督プログラムの卒業生たちに渡そうと思って、自分のレジュメと写真をいっぱい持ってきたからね。」と、スピーチを締めくくった彼の心の大きさ、暖かさに、私の目は決壊寸前。

そうだよね、一度や二度の失敗で自分をあきらめてちゃダメなんだ。成功している人は、人一倍失敗してる人。失敗を繰り返しながらも、一歩でも二歩でも歩みを進めていける強さをもちたい。

そして、彼のように、何歳になっても後継の人たちに希望と勇気を送り続けられる人間になりたい。そう心から思いました。

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