ディクテーションで五感を研ぎ澄ます

「英語のシャワーを浴びる」という表現をよく耳にします。

聞き続けていたら、ある日突然聞こえるようになった!

聞いてるだけで、話せるようになった!

こういう謳い文句、ついつい信じたくなりますよね。

「英語をいっぱい聞いてれば聞こえてくるようになりますか?」という質問よく頂きます。

答えは、YES and NO. 実践の仕方によります。

英語のCDやラジオをずっとかけっぱなしにしていたとしても、「注意をして聞く」という作業なしでは、ただの「雑音」もしくはBGMでしかありません。

知らない単語は、聞こえない。知ってる単語であっても、前後の単語や話者が変われば、「えー、今の “but” だったの?」なんてことも。

こちらの投稿で紹介した通り、「カップボード」という単語。スペルもそのまま “cupboard”なのですが、発音となると、カタカナからは想像もつかない音になります。聞いている音源の中で、この単語が使われていたとして、実際の発音を知らない人が、果たしてカップボードだと気づくことができるでしょうか?

流れている英語をただ漫然と聴いているだけでは、何時間音のシャワーを浴びても、永遠に聞き取れるようにはならないでしょう。

そこで登場するのが「ディクテーション」です。

聞こえてくる音を文字に書き起こしていく作業のことですが、私が愛してやまない学習法なのです。

ディクテーションの効用は、いくら強調してもし過ぎることはありません。私がディクテーションの効果を始めて実感したのは、大学生の時。第二外国語で取っていたフランス語の教授がやり方を教えてくれました。効果を実感して、英語の勉強にも活用するようになりました。

最初のうちは、一つの短い文も一度では書き取れず、何回も音声を止めては書き、止めては書き、の繰り返し。書きながら、一つ前の文の単語の聞き間違いに気づき、前に戻ってやり直したり。

それが慣れてくると、一度に聞き取って書き取れる単語数が増えていきます。そして、聞こえてくる音も、文脈や文の構成を考えながら、単語を選べるようになります。例えば、「今 “washed” って言ってたけど、どうしてここに過去形?あー完了形の”have”を聞き逃してたんだ。」とか。「この単語、単数形なのはおかしいな。複数形だったかな?」と聞き直してみたら、やっぱり複数だったとか。

何回聞いても、聞き取れなくて、トランスクリプトを確認したら、”risen”だった。これって「リズン」って読むんだー。ずっと「ライズン」だと思ってたー。なんていう気づきもあるかもしれません。(いや、いっぱいあるはず!)

ディクテーションのメリット、私が今思いつくだけで、これだけあります:

  • 自分が勝手に「こうだ」と理解していた、発音、意味、文法の間違った思い込みを解消してくれる。
  • 強弱、リズム、前後の単語との関係による音の変化に敏感になる。
  • 一度に書ける単語数が少しずつ多くなる。つまり、一度に聞き取れる単語の数が増える。
  • コロケーションが身につくことで、次の言葉を予想できるようになる。
  • 音からスペルを予想して、辞書で調べられるようになる。
  • 新しい単語や表現がコンテクストと一緒に覚えられる。(ので、定着しやすい)

が、一番大きな利点は、「ディクテーションの作業を通して何回も何回も同じ音源を聞く」

ことではないでしょうか。

10回聞いても聞き取れない、ということが頻発するので(苦笑)。経験者の方は、わかりますよね?ね?

音声に合わせてテキストを読むだけの練習は、暗唱目的でもない限り、すぐに飽きてしまいます。それに、独学の場合、発音やリズムの細かな変化に自分で気づいて、真似することも簡単ではありません。

これに対して、真っさらな状態で「英語の音を聞いて書く」ディクテーションは、普段使わない脳の部分を刺激してくれるような気がします(専門家ではないので断言できませんが)。

それに体全体を使う全身運動であることも間違いありません。

少しずつでもいいから、コツコツ続けていけば、リスニングの力だけでなく、話す、書く、読む力も育っていることが実感できるようになるはず。スポーツのトレーニングと同じで、数回やっただけでは効果は見えないでしょうが、必ず、筋肉は育っています。大丈夫!

ディクテーションに使えるテキスト、英語のサイトなどもご紹介したかったのですが、時間切れ。次回の投稿で書きたいと思います。