Awareness 「気づき」

ある私立高校の入試問題を見ていた時のこと。長文読解のセクションにこんな文章がありました。

「夏休みに男だけで旅行に行った。メンバーは自分と親友、そして自分の父親と親友の父親の4人。お母さんたちは家事で忙しく、家で留守番。」

うーん、男だけの旅行に出るのは勝手だけど、母親が留守番する理由、もっといい理由が思いつかなかったかなー。

しかも英語では、母親たちが自分の意思で残ったというより、家事のために留守番せざるを得なかった、というニュアンスになっているんですよね。

「父親は外に仕事に行って、家のことは全部お母さんが担当」っていう図式を「当たり前」の事実として、中学生に提示する意味があるのでしょうか。。。

外国語を学ぶことの大きな意義って、そういう固定観念から自由になれるよう手助けするってことだと私は思っているのですが。

レッスンに来ている中学生に、「この文読んでどう思う?私がどうしてこんなに怒ってるかわかる?」と聞いてみましたが、もちろん No idea. 何が問題なの?って、ポカンとしてました。

高校生に同じ質問をしても、大体似たような反応が返ってきます。ジェンダーを扱った試験問題は、大学入試や英検などでも結構な頻度で取り上げられているのだけど、そういう文章読んでもピンと来ないだろうなー。

文法をマスターして、単語をいっぱい覚えても、その文章が書かれた社会的、歴史的背景をきちんと把握できないと、「訳してみたけど、何が書いてるのか全くわからない」ということになってしまいます。皆さんもそういう経験ありませんか?

だから、中高生には「英語ばっかり勉強しててもダメだよ。他の教科もしっかり勉強しなさい。いっぱい本読みなさい。世界で起こってることにアンテナ張っておきなさい。」としつこく、しつこ〜く繰り返します(笑)。

突然ですが、アメリカで制作されている”Curious George”(「おさるのジョージ」)のアニメを見たことありますか?日本でも放送されていると聞きましたが、私、、、このアニメの大ファンなのです。

最初は子どもたちとのレッスンに使えるかなと集め始めたのですが、見始めたら新しい発見の連続で、やみつきに、、、。ビデオのコレクションも結構な数になりつつあります(自慢)。

私にとって一番興味深い点は、人種や性差についてのステレオタイプを視聴者(特に子ども達)に植え付けないための努力がいたるところに見られるところ。

例えば、サイエンティストで自他共に認める「天才」ワイズマン博士は、黒人かつ女性。ジョージが住む街の市長さんも黒人。ジョージが自分の自転車を壊してしまった時、修理してくれたのは、牧場を営むレンキンズさんの旦那さん、ではなく、奥さんの方でした。

mrs rinkins
Curious George “Rides A Bike”

「これは男の仕事」とか「これは女の仕事」とか、私たちが無意識にしている線引きは、本当はどこにも存在していなく、自分たちが勝手にあると思い込んでるだけなんだっていうことを、気づかせてくれます。

「気づき」は英語で”Awareness “というのですが、これ、たぶん私が一番好きな言葉です。

ずっと「当たり前」だと思っていたことが、実は「当たり前」じゃないんだって「気づいた」時、新しい世界が自分の前に現れる。今まで見ていた世界が、全く違って見える。

でも、その「新しい世界」は、本当はずっと自分の眼の前に存在していたのです。自分が見ようとしていなかっただけで。

ちょっとしたきっかけで、見えていなかったものが、見えるようになる。

どれだけ多くの「気づき」のきっかけを与えることができるか。

彼らの眼の前から「当たり前」のヴェールを何枚取り去ることができるか。

教育者としての私の挑戦は続きます。