リスニング上達の秘訣 – 自分の耳に頼らないこと

「文字で見るととっても簡単な文章なのに、耳で聞くと全く聞き取れない。」

入会間もない方々とのレッスンでディクテーションをやっていると、このようなコメントがよく返ってきます。

レッスンで使っている音声は、中学2年生レベルの内容で、スピードもゆっくり。難しい単語など出てきません。それでも、みなさん「速い!」「何回聞いても聞き取れない。」と苦戦されます。英検3級、準2級を取得済みの方もいるのですよ。

こうなってしまう原因は、「英語を耳で聞いて(文字情報なしに)内容を理解する」という訓練が足りていない、ということに尽きます。

「英語を文字で見るのと、音で聞くのでは大きな開きがある」と認識する機会がほとんどないということです。だから日本語を話すように、英語を話してしまうし、日本語を聞くように、英語が聞こえると思ってしまう。

リスニング力を上げるためには、英語らしく読む練習をしてみることです。

どこにアクセントが置かれている?どこが強く発音されている?リズムは?聞こえてくる音を、聞いた通りに真似て発声してみるという練習が必要。

また、真似てみた音やリズムが合っているかどうか、フィードバックをもらうことも不可欠。本当にそこにアクセントあった?日本語を話す時と同じような発声の仕方、口の動かし方で、英語を話してない?こういう面は、第三者に指摘してもらわないと気づけないものです。

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リスニングが苦手な方に、もう一つアドバイス。

それは「自分の耳に頼りすぎてはいけない!」と言うこと。

ディクテーションしてると、”I want to *when* the game.” とか、平気で書いて来る子がいます。「ここにwhenが来るのおかしくない?」と聞くと、「だってwhen にしか聞こえなかったもん!」と言い張って譲りません(笑)自分の耳を信頼したい気持ちはわかるんだけど、、、。それとか、「I *cat* go there.  Cat? 変だよね。だけど何回聞いてもcatにしか聞こえない!」とかね。空耳アワー。で、どうして「猫」が出て来たのか考えてるうちに、他のところは全く聞き取れていない、というパターンもよくあります。

ネイティブスピーカーじゃないのだから、英語の音が100%正確に聞き取れなくて当たり前。だから、自分の耳ではなく、自分が持ってる(文法)知識を最大限に活用してください。Catにしか聞こえないけど、ここに名詞が来るはずないし、文脈的にもおかしいから、can’tだよね。」って素早く修正できるように。

そうやって修正していくうちに、音の情報と文字の情報の差がどんどん小さくなって行きます。

リスニング攻略法としては、「英語をたくさん聞く!」とか、「単語をいっぱい覚える!」というのがよく上がってきますが、「英語らしく読む」練習と、「自分の耳に頼りすぎない」ことを心がけて、ディクテーションやシャドウイングを続けてみてください。

Keep up the good work!

ディクテーションで五感を研ぎ澄ます

「英語のシャワーを浴びる」という表現をよく耳にします。

聞き続けていたら、ある日突然聞こえるようになった!

聞いてるだけで、話せるようになった!

こういう謳い文句、ついつい信じたくなりますよね。

「英語をいっぱい聞いてれば聞こえてくるようになりますか?」という質問よく頂きます。

答えは、YES and NO. 実践の仕方によります。

英語のCDやラジオをずっとかけっぱなしにしていたとしても、「注意をして聞く」という作業なしでは、ただの「雑音」もしくはBGMでしかありません。

知らない単語は、聞こえない。知ってる単語であっても、前後の単語や話者が変われば、「えー、今の “but” だったの?」なんてことも。

こちらの投稿で紹介した通り、「カップボード」という単語。スペルもそのまま “cupboard”なのですが、発音となると、カタカナからは想像もつかない音になります。聞いている音源の中で、この単語が使われていたとして、実際の発音を知らない人が、果たしてカップボードだと気づくことができるでしょうか?

流れている英語をただ漫然と聴いているだけでは、何時間音のシャワーを浴びても、永遠に聞き取れるようにはならないでしょう。

そこで登場するのが「ディクテーション」です。

聞こえてくる音を文字に書き起こしていく作業のことですが、私が愛してやまない学習法なのです。

ディクテーションの効用は、いくら強調してもし過ぎることはありません。私がディクテーションの効果を始めて実感したのは、大学生の時。第二外国語で取っていたフランス語の教授がやり方を教えてくれました。効果を実感して、英語の勉強にも活用するようになりました。

最初のうちは、一つの短い文も一度では書き取れず、何回も音声を止めては書き、止めては書き、の繰り返し。書きながら、一つ前の文の単語の聞き間違いに気づき、前に戻ってやり直したり。

それが慣れてくると、一度に聞き取って書き取れる単語数が増えていきます。そして、聞こえてくる音も、文脈や文の構成を考えながら、単語を選べるようになります。例えば、「今 “washed” って言ってたけど、どうしてここに過去形?あー完了形の”have”を聞き逃してたんだ。」とか。「この単語、単数形なのはおかしいな。複数形だったかな?」と聞き直してみたら、やっぱり複数だったとか。

何回聞いても、聞き取れなくて、トランスクリプトを確認したら、”risen”だった。これって「リズン」って読むんだー。ずっと「ライズン」だと思ってたー。なんていう気づきもあるかもしれません。(いや、いっぱいあるはず!)

ディクテーションのメリット、私が今思いつくだけで、これだけあります:

  • 自分が勝手に「こうだ」と理解していた、発音、意味、文法の間違った思い込みを解消してくれる。
  • 強弱、リズム、前後の単語との関係による音の変化に敏感になる。
  • 一度に書ける単語数が少しずつ多くなる。つまり、一度に聞き取れる単語の数が増える。
  • コロケーションが身につくことで、次の言葉を予想できるようになる。
  • 音からスペルを予想して、辞書で調べられるようになる。
  • 新しい単語や表現がコンテクストと一緒に覚えられる。(ので、定着しやすい)

が、一番大きな利点は、「ディクテーションの作業を通して何回も何回も同じ音源を聞く」

ことではないでしょうか。

10回聞いても聞き取れない、ということが頻発するので(苦笑)。経験者の方は、わかりますよね?ね?

音声に合わせてテキストを読むだけの練習は、暗唱目的でもない限り、すぐに飽きてしまいます。それに、独学の場合、発音やリズムの細かな変化に自分で気づいて、真似することも簡単ではありません。

これに対して、真っさらな状態で「英語の音を聞いて書く」ディクテーションは、普段使わない脳の部分を刺激してくれるような気がします(専門家ではないので断言できませんが)。

それに体全体を使う全身運動であることも間違いありません。

少しずつでもいいから、コツコツ続けていけば、リスニングの力だけでなく、話す、書く、読む力も育っていることが実感できるようになるはず。スポーツのトレーニングと同じで、数回やっただけでは効果は見えないでしょうが、必ず、筋肉は育っています。大丈夫!

ディクテーションに使えるテキスト、英語のサイトなどもご紹介したかったのですが、時間切れ。次回の投稿で書きたいと思います。

 

心がきゅんとなる話 from New York: A story about a dog

家にいるときは、インターネットでアメリカのラジオニュースを聞いていることが多い私(テレビがないもので)。お気に入りはNPRのMorning Editionです。

先週末、いつものように流しっぱなしにしていたら、とってもニューヨークらしくって、心があったかくなるお話が紹介されていて、「これレッスンで使おう!」と早速ネットで音声を探して保存しました。

ニュースのタイトルは、Dog Races The Rails To Manhattan — And Wins New Yorkers’ Hearts.

タブロイド紙に掲載されていた「ある犬」にまつわる記事を、番組のキャスターが3分弱のお話に編集し直して紹介したものです。

「事件」は平日朝の通勤電車で起こりました。ブロンクスとマンハッタンを結ぶメトロノースという電車を運転していた男性が、その電車を追いかけるように走っている犬がいるのに気づきます。

枕木に足を取られ、つっかかりながらも、元気よく走り続ける犬。運転手は気が気ではありません。電気が流れている線路に当たって感電死するのではないか。電車にはねられるのではないか。

そんな運転手の心配をよそに、犬は並走を続け、さらに、電車が信号で止まった時には、ここぞとばかりに電車の前に躍り出て、電車を先導し始めるのです。

こ れには運転手も困りました。ブレーキを踏んで、スピードを緩めるしかありません。ですが、彼が運転するのはマンハッタンに向かう通勤電車。「忙しい」が口 癖のニューヨーカー。犬一匹のためにスピードを落とすなんて言ったら大騒ぎになってしまうのではないか。緊張しながら車内放送を流します。

「電車の前を走っている犬がいるため、かなりスピードを落として運転しています。」

その放送が終わるやいなや、乗客達が次々と先頭車両に集まってきました。クレームを言うため?ではなく、その犬に声援を送るため!

電車がゆっくりと次の停車駅に入っていきます。犬を捕まえるため線路に駆け寄る二人の警察官。犬はその警察官の腕に勢いよく飛び込んでいきました。犬が無事保護されたのを見て、さらに歓声を上げて喜ぶ乗客達。

この犬は首輪がついてないけれど、ちゃんとお手やお座りをするそうで、きちんとケアされていたことが伺えるとありました。飼い主が見つからなかった場合は、新しい飼い主に養子に出されるとのこと。引き取りたいという申し出も殺到しているそう。

鉄道警察官がこの犬につけたニックネームは”Tie“。どうしてこの名前になったと思いますか?わからない!知りたい!という方は、リンクの再生ボタンをクリックして音声を聞いてみてください。平易な文章で構成されていて、単語さえわかれば簡単に理解できる内容です。サイトにはトランスクリプトも掲載されています。

内容が理解できたら、今度は声に出して読んでみるのも良いですね。どの単語を強く読んでいるとか、どこで息継ぎをするとか、意識しながら繰り返し読みます。プロのニュースキャスターから直接読み方を教わっているんだわーと想像しながら、ね♪